天然酵母について
イーストが誕生するまでは、その土地に適した果実や植物から培養された天然酵母が使われていました。昔のパン屋さんは、自家製酵母を先祖代々引き継いで、パンを作っていました。
素材は、
ブドウ(レーズン)などがメジャーですが、他にもいろいろあります。パンに限らず、ご飯と少量の米こうじをまぜて作った日本酒も天然酵母と言えます。
以前は、天然酵母パンというと、特別な健康食品のようなイメージで、ごく限られたパン屋さんでしか買うことができなかったように思います。しかし最近は、天然酵母パンだけ扱ったお店や、パンの一部を天然酵母パンにしているお店など、天然酵母パンを買える所が増えてきました。天然酵母パンが一般的に、「よい」と言われているのは、選び抜いた材料で作った酵母を使い、粉や水などを厳選し、手間暇をかけて作られているからなのではないでしょうか。
さらに、他に添加物を入れることなく、パンはその天然酵母だけでふくらんでいきます。
1次発酵が約6時間ほどかかったり(パンにもよりますが)、イースト(1次発酵は1時間半くらい?)と比べると、焼き上がりまでに時間がかかりますが、この長時間発酵させている間に、うまみ成分であるアミノ酸や乳酸など、様々な栄養分を作り出し、おいしいパンが出来上がります。見た目は少々悪くかたくなりますが、消化がよく胸焼けしません。小麦は身体を冷やします。人工イーストを加えるとさらに冷やしてしまいます。この天然酵母を使うことによって体にやさしく暖めます。
市販のサンドイッチやハンバーガーなど、
ファーストフードがよくないとは言いません。ただ、スピーディに食べられるものは、便利さと引き替えに、危険がひそんでいると心にとめておいた方がいいのではないでしょうか。
天然酵母種について
「ホップ種」
ビールとジャガイモを使った北欧のホップ種。ジャガイモを茹でて、マッシュポテトを作り、そこに、砂糖とホップの煮汁を入れて、発酵させます。大正末期まで、この種で食パンが焼かれていたそうです。
この種を使用したパンの
味は淡泊で、小麦本来の味が楽しめます。
「ドロジー種」
この種は、あまり名前を聞かない酵母かと思います。
赤松の葉をお湯に浸し、泡が出てきたら小麦粉を加えて種を作り、そこにライ麦の粉を加えて発酵させる旧ロシアのドロジー種。
この種は酸味が強いのが特徴です。
「果実種」
一般的な天然酵母種
果実(生でもドライでも可)を洗わずつぶし、30℃前後で約20時間置いたものをろ過し、小麦粉をまぜ、発酵させます。
この作り方はフランスの果実種で、小麦粉を混ぜなければ、ワインの作り方とほぼ同じです。温度調整がポイントで、果実についている微生物は、パンの風味に重要な役割を果たしています。この微生物をコントロールできれば、美味しいパンが作れます。
「サワー種」
北イタリアのパネトーネ種(生まれたての子牛が初乳を飲んだ後、腸内から取り出した菌を、小麦粉と混ぜ会わせて作る)、サンフランシスコのサンフランシスコサワー、ライ麦パン作りのために、ライサワーなどがあり、小麦(ライ麦)と水をミックスした中に、乳酸菌が集まったもの、天然酵母と乳酸菌のコラボがサワー種、ということになります。
この乳酸菌が大事で、種を酸性にして、必要のないバクテリアやイースト菌を退治してしまいます。酵母が棲みやすい環境を作っています。
イースト菌は本来酸性に弱く、その死んだイーストを乳酸菌が食べるので、サワー種は腐りません。そのため、作ったパン生地の一部を次回の元種にして、ずっと使い続けることができます。この酸のおかげで、焼き上がったパンも日持ちが良くなります。
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